AI 検索の成果、どう測る?可視化指標と週次レポートの作り方

この記事でわかること

  • AI 検索の成果を測るための 4 つの可視化指標(Mention / Citation / Share / Sentiment)
  • 経営陣に報告できる KPI 設計の考え方と、具体的な指標の選び方
  • 週次で運用できるレポートテンプレートの作成手順

AI 検索の成果は「クリック」では測れない

従来の SEO では、成果を「検索順位」と「クリック数」で測っていました。
Google Search Console や Google Analytics を見れば、どのキーワードで何回クリックされたかがわかります。

AI 検索では、この前提が崩れます。

ChatGPT や Perplexity は「回答そのもの」を返します。
ユーザーは答えを得たら、リンクをクリックせずに離脱することがあります。
クリックに現れない「影響」が発生しているのです。

たとえば、ChatGPT に「おすすめの会計ソフトは?」と聞いたとき、回答内で御社が言及されたとします。
ユーザーはその情報を得て、後日 Google で社名を検索するかもしれません。
あるいは、購買検討の際に「ChatGPT で名前を見た」ことが記憶に残るかもしれません。

この「言及された」「引用された」という事実を捉えなければ、AI 検索の成果は見えません。

4 つの可視化指標

AI 検索の成果を測るために、以下の 4 つの指標を定義します。
これらは GEO / AEO 分野の主要ツールが共通して採用している指標体系をベースにしています。

Mention(言及)

AI の回答内でブランド名が「言及された回数」または「言及された割合」です。

たとえば、100 回のプロンプトに対して 25 回言及されたなら、Mention Rate は 25% です。
これは「認知」に近い指標です。

Mention は Citation よりも広い概念です。
URL 付きで引用されなくても、テキスト内で名前が出てくればカウントされます。

計測方法:

  • 自社に関連するプロンプトを複数用意する
  • 各 AI プラットフォーム(ChatGPT / Perplexity / Gemini など)で実行する
  • 回答内に自社名が含まれるかを確認する
  • 言及回数 ÷ 実行回数 = Mention Rate

Citation(引用)

AI の回答内で自社ページが「参照元として引用された回数」または「引用された割合」です。

Perplexity や ChatGPT(Search モード)は、回答の根拠となった URL を表示します。
その中に自社ドメインが含まれているかどうかが Citation です。

Citation は「信頼されている」ことの指標です。
AI が情報を生成する際に、御社のコンテンツを根拠として採用したという証拠です。

計測方法:

  • プロンプト実行時に、引用された URL をすべて記録する
  • 自社ドメインが含まれている回数をカウントする
  • 引用回数 ÷ 実行回数 = Citation Rate

注意点:

  • ChatGPT の通常モード(Search なし)は URL を返さないことがあります
  • Perplexity は引用を前面に出す UI のため、Citation が測りやすいプラットフォームです

Share(シェア)

競合と比較した際の「占有率」です。
Share of Voice(SoV)とも呼ばれます。

たとえば、10 社の競合を含めた計測で、自社の Mention Rate が 20%、競合 A が 30%、競合 B が 15% だったとします。
この場合、自社の Share は 20 ÷ (20 + 30 + 15 + ...) で算出されます。

Share は「相対的なポジション」を示します。
自社の Mention Rate が上がっても、競合がそれ以上に伸びていれば、Share は下がります。

経営報告では、絶対値(Mention Rate)よりも相対値(Share)のほうが伝わりやすいことがあります。
「業界内で 2 位から 1 位になった」という報告は、数字の意味が直感的です。

Sentiment(評判)

AI の回答内で自社がどのような文脈で言及されているかを分類した指標です。

分類の例:

  • Positive: 推薦、高評価、「おすすめ」などの文脈
  • Neutral: 事実の列挙、比較表の一項目としての言及
  • Negative: 批判、欠点の指摘、「〇〇には向かない」などの文脈

Sentiment は「どう言われているか」の指標です。
Mention や Citation が増えても、Negative な文脈で言及されていては逆効果です。

計測方法:

  • 回答テキストを取得する
  • 自社言及の前後文脈を確認する
  • Positive / Neutral / Negative に分類する
  • 各割合を算出する

手動で行う場合は、最初は Positive / Negative の 2 分類から始めると運用しやすいです。

経営に報告できる KPI 設計

4 つの指標を把握したら、次は「どの指標を KPI にするか」を決めます。
すべてを追うのは現実的ではありません。

指標の選び方

以下の順で優先度を付けることをおすすめします。

優先度 指標 理由
1 Share(競合比較) 経営層に最も伝わりやすい。相対的な競争力を示せる
2 Citation Rate 「信頼されている」ことの証拠。コンテンツ施策の成果が見えやすい
3 Sentiment(Positive 率) ブランドイメージの健全性を示す。Negative が増えたらアラート
4 Mention Rate 認知の広がり。Citation と組み合わせて解釈する

経営報告用のフォーマット例

月次または四半期で経営陣に報告する際のフォーマット例です。

## AI 検索可視性レポート(2026年1月)

### サマリー
- 競合内シェア: 32%(前月比 +5pt)
- Citation Rate: 18%(前月比 +3pt)
- Positive 言及率: 78%(前月比 +2pt)

### ハイライト
- 「おすすめの〇〇」クエリで、競合 A を抜いて 1 位に
- 新規公開した比較記事が Perplexity で 12 回引用された
- Negative 言及が 2 件発生(サポート対応遅延に関する言及)

### 来月の施策
- FAQ コンテンツの拡充(引用率向上を狙う)
- Negative 言及の原因となったサポート課題の改善報告を公開

数値目標の立て方

初めて AI 検索の KPI を設定する場合、まずは「現状把握」から始めます。

  1. ベースライン計測: 1〜2 週間かけて現状の数値を取得する
  2. 目標設定: 3 ヶ月後に「現状 +X pt」を目指す
  3. レビュー: 月次で進捗を確認し、施策との相関を検証する

目標の目安:

  • 計測を始めたばかりの企業: 3 ヶ月で Citation Rate +5〜10pt
  • ある程度 SEO 資産がある企業: 3 ヶ月で Share +10〜15pt

これらは一般的な目安です。業界やコンテンツ量によって異なります。

週次レポートの作り方

経営報告は月次でも、施策の PDCA を回すには週次での計測が必要です。
以下に、週次レポートの作成手順を示します。

Step 1: プロンプトリストを作成する

自社に関連するクエリ(質問)を 20〜50 個リストアップします。

例:

  • 「おすすめの〇〇ソフトは?」
  • 「〇〇業界で評判のいい会社は?」
  • 「〇〇と△△、どちらがいい?」
  • 「〇〇の選び方を教えて」

リスト作成のポイント:

  • 顧客が購買検討時に聞きそうな質問を中心にする
  • 競合名を含む比較クエリを入れる
  • 短いクエリ(Short-tail)と長いクエリ(Long-tail)を混ぜる

Step 2: 計測対象の AI プラットフォームを決める

主要なプラットフォームは以下です。

  • ChatGPT(Search モード)
  • Perplexity
  • Google AI Overviews
  • Claude(Web Search 有効時)
  • Gemini

すべてを計測するのは大変なので、まずは 2〜3 つに絞ります。
おすすめは ChatGPT と Perplexity から始めることです。

Step 3: 週次で実行し、結果を記録する

毎週同じ曜日に、同じプロンプトを実行します。
結果をスプレッドシートに記録します。

記録項目:

日付 プロンプト プラットフォーム 自社言及 引用 URL Sentiment 競合言及
2026-01-27 おすすめの〇〇は? ChatGPT Yes https://... Positive A, B
2026-01-27 おすすめの〇〇は? Perplexity No - - A, C, D

Step 4: 集計と可視化

週次で以下を算出します。

  • Mention Rate: 言及あり ÷ 実行回数
  • Citation Rate: 引用あり ÷ 実行回数
  • Share: 自社言及 ÷ (自社 + 競合合計)
  • Positive 率: Positive ÷ (Positive + Neutral + Negative)

グラフは折れ線で時系列を追うのが見やすいです。
週次の推移を追うことで、施策の効果が見えやすくなります。

Step 5: 施策との紐付け

数値の変動を、施策と紐付けて記録します。

例:

  • 1 月 3 週: FAQ ページを公開 → 翌週 Citation Rate +4pt
  • 1 月 4 週: 競合が新記事を公開 → Share -2pt

この紐付けがあることで、「何が効いたか」「何が効かなかったか」が見えます。

無料で始めるチェックリスト

ツールを使わずに、今日から計測を始めるためのチェックリストです。

準備

週次の計測

月次のレビュー

テンプレート

以下のようなスプレッドシートのテンプレートを作成しておくと便利です。

シート 1: Raw Data(生データ)

|週|日付|プロンプト|Platform|自社言及|引用 URL|Sentiment|競合 1|競合 2|競合 3|

シート 2: 週次サマリー

|週|Mention Rate|Citation Rate|Share|Positive 率|施策メモ|

シート 3: 月次レポート

経営報告用のフォーマットをテンプレート化しておきます。

よくある質問

計測にツールは必要ですか?

手動でも始められます。
20〜30 プロンプトを週次で実行し、スプレッドシートに記録する方法で十分です。
規模が大きくなったら、専用ツールの導入を検討してください。

どのくらいのプロンプト数が必要ですか?

統計的に安定した結果を得るには、少なくとも 50〜100 プロンプトが推奨されます。
ただし、最初は 20 プロンプトから始めて、運用を回すことを優先してください。

計測の頻度はどれくらいがいいですか?

施策の PDCA には週次、経営報告には月次が目安です。
AI の回答は日々変動するため、日次で計測する企業もありますが、リソースとのバランスで決めてください。

競合の選び方は?

直接競合 3〜5 社を選びます。
AI 検索でよく名前が出てくる企業を中心に選ぶと、Share の計算が意味を持ちます。
業界のリーダー企業と、自社と同規模の企業を混ぜるとバランスが取れます。

Negative な言及が増えたらどうすべきですか?

まず原因を特定します。
サポート対応、価格、機能など、どのトピックで Negative が出ているかを確認します。
その上で、事実なら改善を進め、誤解なら正しい情報を公開するコンテンツを作成します。

まとめ

AI 検索の成果は「クリック」では測れません。
代わりに、以下の 4 つの指標を追跡してください。

  1. Mention(言及) — AI の回答内で名前が出たかどうか
  2. Citation(引用) — 参照元として自社 URL が引用されたかどうか
  3. Share(シェア) — 競合と比較した際の占有率
  4. Sentiment(評判) — Positive / Neutral / Negative の割合

経営報告には Share を中心に据え、施策の PDCA には週次の Citation Rate を追うのがおすすめです。

まずは 20 プロンプト × 2 プラットフォーム × 週次の計測から始めてください。
スプレッドシートで 1 ヶ月運用すれば、自社の現状と改善の方向性が見えてきます。

カテゴリー: 03 測定

作成者: Nonoka Takeda